宮内被告 二審も実刑 ライブドア事件 東京高裁判決 『主導的立場だった』
2008年9月12日 夕刊
控訴審判決のため裁判所に入る宮内亮治被告=12日午前、東京・霞が関で |
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ライブドア事件で、証券取引法違反罪(有価証券報告書の虚偽記載など)に問われた元財務担当取締役宮内亮治被告(41)の控訴審判決で、東京高裁は十二日、懲役一年八月の実刑とした一審・東京地裁判決を破棄し、懲役一年二月の実刑を言い渡した。中川武隆裁判長は「計画的に一般投資家を欺き、ライブドアの株価上昇と時価総額の拡大を追求した」と指摘。民事訴訟の解決に向けた努力を認め、一審より刑を軽くした。
最大の争点だった自社株売却益の売り上げ計上の是非について、宮内被告側は「当初から不正の認識はなかった」と主張したが、中川裁判長は「複数の組合を介在させ、海外の証券会社を使って自社株売却を行い、発覚しづらくした」と一審判決を追認。「公認会計士の指摘を抑えて犯行に及んでおり、不正な会計処理との認識はあった」とした。
その上で「証券市場に与えた影響は非常に重い」と指摘。「反省の態度を見せても執行猶予が相当とは言えない」「主導的な立場。当時多額の報酬を得ていたと推認できる」と実刑の理由を述べた。
一方で、捜査段階から一貫して事実関係を詳細に供述し、事件の解明に協力してきたと指摘。「元社長堀江貴文被告(35)=上告=に迎合した側面がある。民事訴訟の解決に向けた相当の努力をしており、酌むべき事情もある」と述べた。
堀江被告は今年七月、二審でも実刑判決を受け、最高裁に上告している。
13件と和解、堀江被告と対立戦術
「執行猶予を」との主張は、控訴審でも通らなかった。東京高裁一〇一号法廷。ダークスーツ姿の宮内被告は言い渡しの瞬間、身じろぎもしなかった。
「動機、経緯に酌量の余地はない」「証券市場、社会に与えた影響は非常に重大」などと犯行を指弾する言葉が続くと、険しい表情を見せ、裁判長に鋭い視線を投げ掛けた。
「すべての責任を部下に押しつけた堀江被告と違い、真摯(しんし)に反省している」「株主との和解も進んでいる」。控訴審で宮内被告の弁護人は、実刑を下した一審判決の不当性を訴えてきた。
ライブドアの「ナンバー2」と言われた宮内被告は二〇〇六年五月、東京地裁の初公判で事実関係を大筋で認めて以降、無罪を主張した堀江被告と真っ向から対立してきた。
堀江被告は控訴審に一度も出廷しなかったが、宮内被告はすべて出廷。「執行猶予を求めているのに法廷に出ないのは失礼でしょう」と弁護人は言う。
ライブドア株主が同社や元幹部らに損害賠償を求めた訴訟で、宮内被告は二十件のうち十三件(原告三百九十一人)で既に和解。約五千六百万円を支払った。そのほかの株主にも一億四千万円を支払う用意をしている。
宮内被告は今、東京都内にある知人のコンピューターシステム会社で働いている。
七月の公判では「今の立場では役職に就けない。もっと意思決定にかかわりたいが、それができない自分がもどかしい」と話していた。http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008091202000263.html
(東京新聞夕刊 2008/9/12)
● 宮内被告の功績もあるかもしれません、特に投資に損を与えたのは配慮が足りなかったのだろうと。