2008年12月15日

裁判員制度:被害者の求刑ほとんど論議されず 地裁で模擬裁判 /山梨

裁判員制度:被害者の求刑ほとんど論議されず 地裁で模擬裁判 /山梨
 ◇「農繁期に呼び出されたら?」農家に不安/「判例は無視できない」参加者にとまどい
 裁判の仕組みが大きく変わろうとしている。来年5月に始まる裁判員制度と今年12月から始まった被害者参加制度。既に来年の裁判員候補者には通知が届き、甲府地裁では両制度を取り入れた模擬裁判が開かれるなど準備が進む。ただ、法律の素人が参加する制度に、不安やとまどいの声も挙がっている。【曹美河、藤野基文】

 「裁判員、裁判官のみなさん、どうか今回の事件を、自分に起こったこととして考えてみて下さい。最も大切な人がある日突然、通り魔にあって殺されたようなものだと」−−裁判員と被害者参加の両制度を取り入れ、甲府地裁で9〜10日に行われた模擬裁判。被害者側の弁護士は、301号法廷正面に座る3人の裁判官と、一般から選任された6人の裁判員に語りかけた。
 想定は、酒酔い運転の男(49)が対向車に衝突して男性(57)を死亡させた危険運転致死事件。検察官は懲役8年を求刑したが、被害者参加人として出廷した男性の妻の弁護士は「反省しているとは思えず、遺族は一生癒えることのない傷を負った」と懲役15年を求めた。一方、被告の弁護人は「二度と酒を飲まないと反省している」などと執行猶予付きの判決を求めた。
 裁判員と裁判官による評議の席には、過去の同様の事件での量刑を記した資料が配られた。資料によると05年以降の最高刑は懲役7年。渡辺康裁判官は「資料にとらわれないで」と話したが、裁判員は全員が懲役5〜7年との意見を出し、最終的に多数決で懲役6年の判決が決まった。
 懲役6年とした女性(43)は「法廷では被害者側の感情に流されそうになったが、量刑資料を見ていたので、あまり長い刑は現実的でないと思った」。また、懲役7年とした男性(74)は「被害者の心情を考えて10年くらいかなと思ったけど、判例を見るとそうもいかないのかな」と話していた。
 今回の模擬裁判は、被害者の訴えが裁判員の量刑判断にどう影響するか注目された。しかし実際は被害者側の求刑についてはほとんど議論されなかった。
   ◇  ◇
 甲府地裁によると県内の来年の裁判員候補者数は2300人で、有権者307人に1人が実際に裁判員になる可能性がある。対象事件は30件と想定する。
 既に甲府地裁は来年の裁判員候補者に名簿記載通知書や調査票などを発送している。事件ごとに裁判期日の6週間前までに50〜100人の候補者に呼び出し状が届き、裁判当日の面接で最終的に6人が選ばれる。
 裁判員は原則として辞退できない。特定の職業や立場に偏らずに裁判に参加することを目的としているからだ。ただし、70歳以上や重い病気を抱える人など「特別の事由」に当たると裁判所が判断すれば認められる。
 仕事を休めない農家などから不安の声も上がっている。
 笛吹市御坂町で観光農園を営む男性(36)は「収穫の時期に出廷は無理」と戸惑う。男性一家は桃とブドウ合わせて約2万平方メートルの畑を所有。桃の収穫が6月下旬に始まって8月下旬ごろに落ち着くと、すぐブドウの収穫が始まり、11月までほぼ休みのない状態が続く。これに観光農園としての営業の仕事が加わる。自然条件によって作業が大きく左右される農家の場合、事前に予定を立てるのは難しい。
 甲府地裁は「果樹農家、観光業界の参加障害事由について調査・分析を行っており、その上で県内産業の特色に応じた辞退事由の適切な判断を行う」と説明している。
==============
 ■ことば

 ◇裁判員制度
 殺人や傷害致死、放火など重大事件の刑事裁判に20歳以上の国民が参加する制度。原則6人の裁判員が裁判官3人と公判に臨み、有罪・無罪や量刑を多数決の評議で決める。裁判員は選挙人名簿から無作為に選ばれる。負担軽減のため、事前に裁判官、検察、弁護人の3者が非公開で「公判前整理手続き」を行い、争点や証拠を整理する。全体の7割の事件で公判にかかる日数が3日以内になると想定されている。

 ◇被害者参加制度
 対象は殺人や傷害致死、強姦(ごうかん)、交通死傷事故などで、12月1日以降に起訴された事件に適用される。被害者や遺族が希望し裁判所が許可すれば「被害者参加人」として情状面に関する証人、被告人への質問のほか、検察官とは別に意見として求刑を述べられる。補佐役の弁護士の同席も認められる。費用支払いが難しい場合は「日本司法支援センター(法テラス)」を介し、国選弁護士が選任される。

毎日新聞 2008年12月11日 地方版
http://mainichi.jp/area/yamanashi/news/20081211ddlk19040087000c.html

★平成電電事件でも先日の11月13日に求刑が出ています。それはプロである検察官が行っています。
裁判員制度が始まった場合には裁判員も求刑を行います。その行方は実際に裁判が始まってみないとわからないことでしょう。

posted by スズキ at 03:44| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 裁判員制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
平成電電被害者の会 談・投資奮闘日記
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。