「円天」巨額詐欺の初公判、波元会長「やっていない」
「円天」と呼ばれる疑似通貨を使った「L&G」(破産)の巨額詐欺事件で、全国の会員31人から出資金計3億2700万円をだまし取ったとして組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の罪に問われた同社元会長波和二(かずつぎ)被告(76)の初公判が2日、東京地裁で開かれた。
波被告は「詐欺はやっていない」と述べ、起訴事実を否認した。
だが、罪状認否では、一転して雄弁になり、「起訴状の文章が長すぎて分からない」などと、約15分にわたりまくし立てた。山口裁判長に「事業も行わず、どうやって出資金を返すつもりだったのか」と問われると、「円天事業で支払うつもりだった」としたうえで、「私は、事業を世界に発表するつもりだった。その時に分かることだ」などと独自の主張を展開した。
検察側は冒頭陳述で、L&Gによる被害総額は、2000年7月以降1285億円に及び、波被告の利得も計約20億5000万円に上ると主張した。
また、波被告は04年以降、キャバクラ孃をスカウトしてきてグループ会社で雇い、1回30万円を払って連日のように遊興を繰り返し、高額のブランド品もプレゼントしていたとし、「ぜいたくざんまいの生活を少しでも長く続けたいと考え、破綻(はたん)状態の発覚を先送りした」と述べた。
この事件では、22人が起訴され、波被告を含め18人の公判が始まっている。
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この日、裁判を傍聴した東京都目黒区の男性(77)は、L&Gの口座に老後のための貯金400万円を振り込み、ほとんど戻ってこなかったという。「孫の教育費にも使いたかったのに、財産はほとんどなくなった。全く反省しておらず、憤りを感じた」と強い口調で話した。
また、起訴事実の中で被害者とされている静岡市内の車販売修理会社経営の男性(62)は、波被告の否認を聞き、「事業が破綻したのは疑いようもない事実。現実に多くの人を泣かせている。どうしてそうなったのか、波被告には説明する責任がある」と語った。
傍聴したL&Gの被害対策弁護団の団長、千葉肇弁護士は「相変わらず荒唐無稽(むけい)な話を繰り返し、頭に来た。約3000件もの相談を受けている。少しでも早く被害回復を進められれば」と悩ましそうに話した。
(2009年7月2日19時30分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090702-OYT1T00796.htm?from=navr
★ L&Gの初公判が開かれました。次回期日は8月25日になります。