裁判員裁判対象の性犯罪 裁判員裁判となる事件は(1)死刑または無期懲役・禁固に当たる罪(2)故意の犯罪行為で被害者を死亡させた罪(裁判官1人で担当できる事件を除く)で、うち性犯罪は集団強姦(ごうかん)等致死傷、強制わいせつ致死傷、強姦致死傷、強盗強姦などの罪が対象。2008年の対象事件2324件のうち、性犯罪は約2割を占める。
プライバシー保護、無理解な質問… 二次被害防止が課題 「対象除外を」の声も 性犯罪初 きょうから裁判員裁判
(2009年9月2日掲載)
●特定の恐れも
「裁判員制度づくりの過程でこの問題は抜け落ちていた。対象から性犯罪を外すべきだ」。8月、東京で開かれた支援者の集会。日弁連犯罪被害者支援委員会委員長の番敦子弁護士が訴えた。
青森地裁で2日、性犯罪の審理が始まるのを前に、検察側は裁判員候補者名簿を被害者に提示。知人の有無を確認してもらうなど配慮したが、番弁護士は「顔だけ知っている関係もあり、特に地方では特定される恐れがある」と指摘する。
裁判員にならなかった候補者は守秘義務がない。青森地裁は1日、裁判員候補者に対し、被害者の情報について「口外しないで」と要請した。
●壇上の目多く
8月に東京地裁で開かれた裁判員裁判で被害者遺族の代理人を務めた番弁護士は、出廷した遺族から「壇上の目が多い」と感想を聞いた。多くの人から見られ、心理的な負担を感じたという。
ある性犯罪被害者は法廷で証言した際、「自分の写真などの証拠を裁判官らが手元で見ていると思ったら体が震えた」と、後に打ち明けた。
青森地裁は今回、被害女性2人が別室から意見陳述する「ビデオリンク方式」を実施するが、裁判員の手元のモニターには顔が映る。
「多くの人に事件を知られてしまうことは不安」。著書「性犯罪被害にあうということ」で実名を公表した小林美佳さん(33)は話す。
市民感覚を反映させようと導入された裁判員裁判。「どうしてそんなところにいたの?」。支援団体は、こうした質問が被害者を自責の念に追いつめると心配する。
●市民感覚懸念
自らも性暴力被害を受け、被害者らの声を集める活動をしている埼玉県の中山美奈さん(34)は「市民感覚で多くの人が二次被害を受けてきた」と訴え、地裁が裁判員候補者に性犯罪被害への理解が深まる冊子などを渡すことを提案する。
岡山県の20代女性は性的暴行を受けた後、ショックで行けなくなった勤務先から解雇され、母親から「派手な服装をしていたから」と言われた。
被害者なのに責められることに苦しんだといい、「事件を知られるのは苦痛だが、裁判員制度で市民が性犯罪に向き合い、理解を深めるきっかけになれば」と話した。
「被害者の最もプライベートな部分を扱う事件ということを忘れないで」。こう訴える小林さんは「被害者の“落ち度”を探すのではなく、被告が性欲を満たすために人を傷つけることが許されるのかを裁く場であってほしい」と願っている。
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/display/6816/
★ 裁判員制度において「死刑」にかかわっていない罪「強姦強盗」での初の裁判がおこなわれました。
先に書いてあった通り裁判員制度の対象となるのが死刑もしくは無期懲役・禁固にあたる罪もしくは、故意の犯罪の結果死にいたさせた罪(1人の裁判官で可能なものは対象外)
ということになります。したがって、殺人・傷害致死などが対象となり、強盗や詐欺業務上過失致死や過失致死は裁判員制度の対象にはならないということになります。
内乱罪はその罪になっていても第一審が高等裁判所になっているためその罪も対象外となるでしょう。